交通弱者2,000万人を救う

病や障害があっても外出できる世の中を

代表 川添からのメッセージ

立ち上げの思い代表、川添からのメッセージ

病や障害があっても安心して外出できる世の中を実現すべく、
交通医療(Mobility Healthcare)サービス「ドコケア」を立ち上げることにしました。

交通弱者2,000万人を救いたい

ケアプロ訪問看護ステーション東京では、2,000名以上の方々の在宅療養支援をしてきましたが、「がん末期で酸素カニューレもしているけど最期に家族に会うために故郷に新幹線で戻りたい」「難病で車椅子だけど仕事(全国出張)に行きたい」といったことがありました。一方、「外出は諦めている」「桜を何年も見ていない」といった声を聞きます。そのような中で、看護師たちは「ボランティアでもやりたい」「勤務外に一緒に地域活動に利用者様と行きたい」という思いで支援してきました。訪問看護利用者だけでも月69万人(H29.6月)おり、小児から成人、高齢者まで、気管カニューレや人工肛門、呼吸器、酸素、中心静脈栄養、導尿、疼痛、褥瘡などのケアをしながら生活しています。また、高齢ドライバーの暴走事故や免許返納問題、重度障害で参議院議員になられた方のことがニュースとして社会的な注目を集めています。既存の公的移動支援(通院や通学等)では対応していない外出や通勤、旅行等の現状や課題を調査し、打開策がないかを検討する必要があります。

交通弱者
ケアプロ株式会社では、次にあげるような方々を交通弱者と捉えています。 要介護3以上230万人、認知症700万人(2025年推計)、フレイル200万人(2013年推計)、買物難民700万人(2018年、経済産業省)、特定医療(指定難病)・特定疾患患者数986,071人(2010年)、医療的ケア児1.8万人(2010年、医療的ケア児に対する実態調査)、障害者936万人(2018年、生活実態調査、身体436万人、知的108万人、精神392万人)、その他(妊産婦、ひきこもり、外国人患者、運転を控えるべき高齢者、幼児、病児など)

交通医療という新しい当たり前を

「在宅介護実態調査(厚生労働省)」において、「今後の在宅生活の継続のために必要と感じる支援・サービス(複数回答可)」の回答率のトップは「移送サービス(介護・福祉タクシー等)」で21.1%、2位は「外出同行(通院、買い物等)」で19%でした。要介護の高齢者らが地域で暮らし続けていく上で、移動支援が突出して大きな難題になっていることが分かっています。家族や公共交通、公的移動支援などには限界(詳しくはこちら)があり、民間として「交通医療(Mobility Healthcare)」を確立していく必要があると感じています。 19世紀は感染医療、20世紀は急性期医療、21世紀は予防医療や在宅医療が台頭しましたが、「交通医療(Mobility Healthcare)」という新しい領域を構想しました。

※「Mobility Healthcare」「交通医療」は、ケアプロ株式会社の登録商標です。

公共交通空白地域は九州の面積ほど

交通弱者の背景にある環境変化として、影響が大きいのは、地域公共交通の衰退です。2000年度以降、廃止された鉄道軌道は全国で44路線、10,410kmです。そして、「国土交通白書(令和2年版)」によると、公共交通空白地域を「バス500m圏外 鉄道1㎞圏外」として、面積と人口を試算しています。面積は38,710㎢(平方キロメートル)、人口は767万人と試算されており、この空白地は、九州の面積と同等です。今後、少子高齢化によって、さらなる鉄道やバスの路線廃止、タクシー事業者の撤退が予想されます。

イノベーションが求められている

このまま何もせず、少子高齢多死社会が進むと、交通弱者は家や施設に閉じ込められ、外出しないと地域にお金が落ちず、救急搬送も増えてしまうのではないでしょうか。また、親のために介護離職する人が増え、働き手が減り、経済にも影響があるのではないでしょうか。そのような事態を防ぎたい。共働き世代の増加で保育の整備が進んだことと同様に、核家族化と独居が増える中で、親の移動支援のアウトソース活用は進んでいくと考えられます。

問題を根っこから解決するアイデア

問題は「小児が看れるなどの質確保の壁」「法人主体の価格設定では全ての人には手が届かない価格の壁」「一人の看護師や介護職に依存せず複数に頼れる量的確保の壁」があると分析しました。 そして、シェアリングヘルスケアというお互い様の精神で、時間とスキルと想いがある人たちがUberのように副業で働いて、病や障害があっても安心して外出できる共生社会が作れるのではないか。そこから、外出支援プラットフォーム「ドコケア(Dococare)」のアイデアが生まれました。

共生社会をみんなでつくる

ドコでもケアできる、ドコケア。ドラえもんのどこでもドアをすぐに作ることはできませんが、みんなで力を合わせてドコケアを作ることはできます。 現在、病院のソーシャルワーカーや地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護タクシー、民間救急、旅行会社、訪問看護ステーション、行政、公共交通機関、地域見守り団体、大学、サービス付き高齢者住宅などの医療介護福祉関係者と連携して事業を開発しています。看護師や介護職、看護学生、キャビンアテンダント等が副業をすることで、新たな雇用創出にも繋がっています。

ドコケアの実績

2020年6月から「ドコケア」を開始し、電話おまかせサービスを中心に、多くの方々に利用いただいています。通院や入院、転院、退院、銀行、買い物、食事、冠婚葬祭、旅行、スポーツ観戦、ワクチン接種、通学、通勤など、百人百様のお困りごとからお楽しみまで幅広い活用があります。東京を中心に、北海道や沖縄などへの渡航もあれば、近所のコンビニにカフェラテを買いに行くこともあります。がん末期で点滴管理が必要な方や難病で人工呼吸器管理が必要な方、精神疾患患者、生活保護者、認知症患者、医療的ケア児、視覚障害者、知的障害者、コロナ陽性者など様々な利用者がいます。

国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献宣言

移動は、人としての基本的人権であり、そのための公共交通機関があります。しかし、交通弱者の課題は山積しており、持続可能な社会のために、新しいモビリティが求められています。

鍵となるのは、「人的交通網」だと考えました。どれだけ、ハード面で交通網が発達しても、”最終的に人の手をとって、ラストマイルを埋めるのは人である”と考えています。

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」では、”国民の責務”として、”国民は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性について理解を深めるとともに、これらの者が公共交通機関を利用して移動するために必要となる支援その他のこれらの者の円滑な移動及び施設の利用を確保するために必要な協力をするよう努めなければならない”と明文化されています。

私たちは、私たちが創り出した少子高齢化や核家族化、共働き、情報化、都市化などの社会変化に対応する、新たなモビリティを、私たちの手と手で創造し、健康的な社会づくりに貢献することを宣言します。

SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS 世界を変えるための17の目標
  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 8 働きがいも経済成長
  • 11 済み続けられるまちづくりを
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう